ランプ肉とはどこの部位?その特徴やイチボやミスジとの違い、焼き方について解説。おすすめレシピも紹介します。

牛の下腰部からとれる部位「ランプ」。赤身でありながらも旨味が強く、肉質がやわらかい。それでいてサーロインやヒレ肉よりも安いため、注目が集まっています。本記事では、ランプ肉の特徴や美味しい焼き方、食べ方について解説します。

ランプ肉の意味とは?

ランプ肉とは、牛の腰、モモ、お尻にかけてとれる上質な赤身肉を指します。外モモ、内モモ、シンタマなど、モモ肉の中で比較的やわらかい部位とされています。ランプという名称は英語の「rump」からきており、rumpは直訳すると臀部(でんぶ)となります。

ランプ肉の種類

ランプ肉は、さらにランナカ、ランボソ、ネクタイ、ランカブリの4つに分類することができます。

ランナカ・ランボソ

ランナカはランプ肉の背中側の部分を、ランボソは足(スネ)側の部分を指します。

ネクタイ・ランカブリ

ネクタイはランプ肉の上に重なる平たい赤身肉のことです。1頭から400gほどしか取れない希少部位で、名前の通りネクタイのような形をしています。

ネクタイはランプ肉の上に重なる平たい赤身肉のことです。1頭から400gほどしか取れない希少部位で、名前の通りネクタイのような形をしています。

ランプ肉を含むモモ肉について

モモ肉は、ランイチ、外モモ、内モモ、シンタマの4つで構成されます。

外モモ

外モモは、イチボと繋がっている部分で、後ろ足の外側に位置する部位です。もも肉の中で、最も大きな割合を占めています。筋肉量が多く肉質はやや硬めですが、旨味が凝縮されています。薄くスライスして、しゃぶしゃぶなどで使われることが多いです。

内モモ

内モモは、後ろ足の内側に位置する部位です。外モモと同じく、筋肉質で脂身も少なめです。

シンタマ

シンタマは、外モモとランプに挟まれるように位置する部位です。さらに細かくシンシン(丸芯)、カメノコ、トモサンカク(友三角)、マルカワの4つに分割できます。赤身で脂は少なめで、柔らかいのが特徴です。

ランプ肉とイチボの違い

イチボは、牛のお尻のえくぼに相当する部位になります。牛の臀骨がH型をしているため、「H-bone」と呼ばれ、それがなまって、やがてイチボと呼ばれるようになりました。

ランプ肉とは隣り合っており、ランプ肉とイチボを合わせて「ランイチ」と呼ぶこともあります。イチボはランプに比べると、少々キメが粗くサシが多く含まれています。そのため、赤身肉の旨味と脂の甘さを楽しめる部位となっています。

関連記事:牛肉のイチボとは?ほかの部位との違いやおすすめの料理方法を紹介

ランプ肉とミスジの違い

ミスジは、牛の肩甲骨の内側にくっついているウデ肉です。ミスジという名前の通り、お肉に上下、真ん中に筋が入っているのが特徴です。

ミスジは、牛の肩甲骨の内側にくっついているウデ肉です。ミスジという名前の通り、お肉に上下、真ん中に筋が入っているのが特徴です。

ランプ肉の特徴

肉質が柔らかく、かつサシが少なめで旨味が強いのが特徴です。ランプ肉は、腰からもも、お尻にかけての部位で、筋肉の動きが少なく、もも肉の中でも比較的やわらかい部位に入ります。

ランプ肉は赤身でありながらも、ほどよく脂身もあるため、焼肉、ローストビーフ、ステーキ、すき焼きなど、さまざまな料理で使えます。

また、サーロインやロースと比べると、サシが少ないため、油っぽくコッテリしたお肉が苦手な方やカロリーが気になる方に非常におすすめです。

ランプ肉に含まれる栄養素

日本食品標準成分表2015年版(七訂)によれば、ランプ肉に含まれている栄養素は以下の通りです。

可食部100gあたり(赤肉 生)

エネルギー121kcal
タンパク質21.6g
脂質18.2g
炭水化物0.5g
2.6mg
亜鉛4.1mg
ビタミンB10.11mg
ビタミンB20.29mg
ビタミンB122.3mg
ナトリウム52mg
カリウム360mg
マグネシウム23mg
リン210mg
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ランプ肉の調理方法

ここでは、ランプ肉をより美味しく仕立てる調理方法について解説します。

ランプの切り方

筋繊維は加熱処理しても固く、歯に挟まったり、食感が悪かったりします。ランプ肉を切る際に気をつけることは、繊維の方向です。

切るときには、ランプ肉の繊維の方向を意識し、繊維に対して垂直にカットするようにしましょう。繊維が短くなれば、その分食べやすさが増します。ただし、薄く切りすぎると、せっかくのジューシーな部位が台無しになってしまうので注意が必要です。

また、柔らかく切りにくいと感じた場合は、お肉を冷凍し、表面を少し固くしてから切りましょう。完全に冷凍してしまうと、繊維が壊れる原因になるので注意してください。

ランプ肉の美味しい焼き方

ランプは場所によっては繊維が太いところのある部位で、さらにそれは強い繊維なので、火を入れすぎると固く感じます。焼き加減はレア寄りで仕上げることが多いのはこのためです。

ランプ肉を柔らかくする方法

外国産牛などは、塊の部分によっては固いものもあるので、ジャガード(ミートテンダー)を入れることもあります。弊社ヤザワミートでは最高級黒毛和牛を厳選してご提供しているので、その必要はないと思います。

ランプ肉を使ったおすすめレシピ

程よく火を通すと肉々しい食べ応えが特徴で、何よりもジューシーで味わいのしっかりした部位はシンプルにステーキで。ランプの最高の相棒ジャガイモの絶品ソテーをと味わう逸品をご紹介いたします。

黒毛和牛ランプのステーキ 絶品ジャガイモのソテー添え

レシピ通りに順を追って作っていくだけで、誰にでもカンタンに美味しくつくれる再現性の高いレシピです。ぜひお試しください!!

材料(2名分)

・ランプ 200g × 2個

・マルドンソルト 適宜

・黒胡椒 適宜

・マスタード 適宜(本レシピではマイユ社ディジョンマスタードを使用)

<絶品ジャガイモソテー>

・ジャガイモ 大3個(メークイン推奨)

・オリーブオイル 120cc

・塩胡椒 適宜

・ニンニク 1かけ

・ローズマリー 半パック

<その他>

・芯温計(針状のはかりがついた温度計。針が細いほど良い。)

STEP①

ジャガイモは芽を取り、皮をむき、乱切りにします。鍋に沸かしたたっぷりのお湯に入れ、中火にして8分茹でます。ジャガイモは新ジャガイモであれば、芽を取るだけでよい。)

火加減は、沸くが沸かないか。

STEP②

ローズマリーは葉を枝から外しみじん切りに。ニンニクは皮をむいてみじん切りにする。

STEP③

フライパンにオリーブオイルを入れ中火にかけます。オイルが十分温まったら茹でたジャガイモを入れ、弱火より強い火で周りをこんがり茶色の色がつくまで揚げ焼きする。

STEP④

色がついたら、塩、黒胡椒で味を整えます。

STEP⑤

ランプは調理の直前まで冷蔵庫に入れておきます。(周りをしっかり焼きながら、ゆっくりと中まで火を通したいため。)

STEP⑥

ランプは塩や胡椒を振らず、必ず熱々のフライパンですべての面を10秒ずつ焼き付け、網に載せアルミホイルで包み余熱で火を通します。

STEP⑦

油を拭き取りながら、その後は4〜8分ずつ焼いては2分休ませるを8回繰り返します。(厚さによって焼きつける時間は変わりますが、必ず熱々のフライパンで焼く)

STEP⑧

8回休ませた後に芯温計を中心に刺し、48℃〜50℃に達していることを確認します。もし温度が低いようであれば、同じ工程を繰り返し芯温を確認します。

STEP⑨

STEP④のジャガイモを弱火で温めなおし皿に盛り、肉を大きめにカットして盛り付けます。

STEP⑩

マルドンソルトと黒胡椒を適宜かけ、温かいうちに頬張ります!!

ワンポイント

今回は焼き方にこだわりたかったので、芯温計を使いました。火の入れ方としては、肉の温度が低いうちは肉がフライパンに載っている時間も長めで、頻度高く焼き、休ませる時間も短めで構いません。

火が入るにつれ、面の焼く時間も短く、焼く頻度を低く、休ませる時間を長くする。このイメージで焼くとよいです。

熱々のフライパンで短時間で焼くことを繰り返すことにより、縮まり、固くなりやすいランプの部位をしっとりと楽しめるようにしました。

おわりに

最近とても人気が上がってきている部位のランプ肉についてご紹介しました。赤身でありながらも旨味が強く、肉質がやわらかいところがこのお肉の魅力です。ぜひ食べてみてください。

ひとくちにランプ肉などの話をしても、輸入牛肉と黒毛和牛とではまったく違ってきますし、買い付けの目利きやその生産者のポリシーによっても異なってきます。美味しい牛肉は、効率ばかり求めてもつくれるものではありません。

より美味しいお肉を届けたいという強い想いを大切にし、ひたすら味にこだわりお客様にお届けすることを心がけています。ランプ肉について知っていただくとともに、私どもヤザワミートという精肉卸のことも知っていただければ幸いです。

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